読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

結婚指輪のプレッシャー

sexuality

就職活動をしている。内定はまだない。

最近気になるものがあって、それは結婚指輪だ。

鉄道会社の総合職の説明会に参加すると、絵に描いたように立派な先輩社員のお話が聞けるわけだけれど、ベテランも、若い人も、男性社員のほとんどが結婚指輪をはめている。

左手の薬指にはめられた、銀の、シンプルなものだけれど、その奇妙な存在感が気になり出すと止まらない。今までは気にもとめていなかったが。

まともさ、まっとうさの象徴。圧倒的メインストリーム感。これはすごいプレッシャーだ。

女性社員が指輪をはめている印象が無いのは、実際にはめていないのか、私が女性の手元を見ることを無意識に避けているからか、どちらなのか分からない。

私の母は、結婚後しばらく指輪をしていたが、面倒なのと不潔さを嫌ってすぐに付けなくなったという。父は、結婚後一度も指輪をはめることはなかったらしい。

私自身は、結婚したら嬉々として指輪をはめて悦に入りそうなタイプなので、できるだけ存在感の薄いものを買ったほうが良いのかなと思ったり(一人だけ金の指輪をつけている人がいたけれど、あれはちょっとないと思った)。

ところで、私は普段学食の人混みを避けて近くの吉野家でランチを食べている。ベテランの女性店員が若手を束ねていて、接客の水準が極めて高い。

彼女の素晴らしいところは、状況に応じて客に真心のこもった言葉をアドリブでかけられるところで、例えば雨の日には、

「こちらお釣りとレシートです。雨の中どうもありがとうございました」

などと声をかけてくれる。

この前行ったときも、

「こちらお釣りとレシートです。いつもありがとうございます。またお越しください」

と声をかけてくれて、ふふ、顔憶えてくれてるんだ、とちょっと嬉しい気持ちになって(ほぼ毎日行っているのだから憶えていて当然ではあるけれど)、お釣りとレシートを差し出す彼女の手が見えて、

薬指に指輪がはまっていた。