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ぼくは藤沢数希が童貞であることを証明しようと思う。

ぼくは愛を証明しようと思う。

ぼくは愛を証明しようと思う。

『ぼくは愛を証明しようと思う。』を読んだ。

女性にフラれ続けて落ち込む主人公の27歳弁理士のわたなべ君が、勤務先の特許事務所のクライアントでファンドマネジャーかつ恋愛プレイヤーの永沢さんに、恋愛工学を教わってモテモテになるという小説仕立てで、永沢さんの教えを通して読者も恋愛工学を学べるようになっている。重要な用語は全て太字になっている親切設計だ。

恋愛工学は、一部に「非モテコミット」とか「フレンドシップ戦略」、「モテスパイラル現象」みたいな独自のキャッチ―な用語を持つ以外は、既存のナンパ師のテクニックをトレースしたもののようだ。「ルーティーン」とか「地蔵」とか、どこかで見たような用語もたくさん出て来る。まあ、そんな細かいことは非ナンパ師の私たちには関係ない。とにかくこの本は分かり易さにかけてはSランク(恋愛プレイヤー的格付け)なので、ナンパ理論に興味がある人は読んでみると良いと思う。

藤沢数希は童貞

恋愛工学は不特定多数の女性とセックスすることを目的とする理論。さぞや素晴らしいセックス描写が読めるのではないかと期待したのだけれど、「昨晩の感触が、心地いい疲労感とともに、まだ僕の下半身に残っている」みたいな間接的な描写が多い。少ないながら、直接的な描写もあって、それは次のような感じだ。

「会ったばかりの人と、こんなことできないよ」
 彼女の口は、まだグダグダ言っている。
 僕は、そんな彼女の口をキスでふさぐ。それからスカートの中に手を滑り込ませて、そのままパンティをずらして性器を触った。下の口は、すでにグショグショになっていた。中指を膣の中に入れ、手のひらでクリトリスをやさしくマッサージし続けた。
「いや、も、もう、やめてぇ」
 濡れ濡れになった性器への愛撫を続けると、彼女は僕に抱きついてきた。

 彼女が油断した隙に、僕の右手はするりと彼女のパンティの中に入り込み、直接性器を刺激できるポジションになった。もう、こうなっては、彼女は陥落するしかない。
「いや、いやん」
 口では拒否しているのに、明らかに全身に力が入っていない。
 ドロドロとした愛液がたっぷりと溢れ出てきている。

 パンティの中に手を入れると、すでにグショグショに濡れていた。そのまま彼女のパンティをずりおろし、手で愛撫し続けた。
「あ、あーん」

分かるだろうか。1パターンしかない。「パンティ」の中にいきなり手を入れて、性器を愛撫して、「グショグショ」で、「あ、あーん」。百人以上の女性とセックスしているはずの藤沢教授のセックス描写が1パターンしかないとはこれ如何に解釈すれば良いものか。しかもその1パターンもまるでリアリティが無い。

男と違い、女がどうやってイクかは、かなり個人差がある。彼女の場合は、乳首を吸ってあげながら、同時にクリトリスを手で5分から10分ほど刺激し続けると、いつも絶頂を迎えた。

こういう記述もあるのだけれど、一度でもまともに女性とコミュニケーションしながらセックスしたことのある男性なら、「女をイカせる」みたいな現実を認識できていない発想はしなくなるはずなんだよね。一度宋美玄先生の本を読んで勉強されてみてはどうだろうか。

女医が教える 本当に気持ちのいいセックス

女医が教える 本当に気持ちのいいセックス

さすがに藤沢数希が童貞っていうのは、ちょっとディス(恋愛工学用語)ってみただけのジョークだけれど、少なくとも彼が、女性やセックスに全く関心が無いということは分かる。この小説、主人公わたなべ君と、恋愛プレイヤー永沢さんのキャラはかなりイキイキとしていて面白いのに、たくさん登場する女性キャラはCランクからSランクまでの容姿のラべリングがあるだけで、各人の個性はほとんど認識できない。

セックスに興味はないけれど、セックスする必要がある男性は、恋愛工学徒になってみるといいんじゃないかな。