オタクの原点としての一方的な愛とこき下ろし ―Amazonレビューの評価に惑わされて高級ヘッドホンを2つ買ってしまった話―

ビックカメラでヘッドホンを視聴

audio-technica アートモニターシリーズ 密閉型ヘッドホン ATH-A500X

audio-technica アートモニターシリーズ 密閉型ヘッドホン ATH-A500X

気に入って使っていたオーディオテクニカのATH-A500Xが壊れて片耳が聴こえなくなってしまったので、同じオーディオテクニカのヘッドホンを買い換えたいと思っていた。

年始の帰省帰りに名古屋駅近くのビックカメラに寄る機会があったので、ヘッドホンを試聴してみる。オーディオテクニカのヘッドホンに的を絞って手持ちのiPhoneに挿して聴き比べてみる。最初にビックカメラおすすめヘッドホンランキング的なコーナーにあるヘッドホンを聴いてみた(機種は確認しておらず不明)。音に迫力はあるものの低音がゴツ過ぎてちょっとキツい。

次に元々持っていたATH-A500Xに見た目が似ているヘッドホンをを聴いてみる。これは素晴らしく感動的な音のように感じた。帰省帰りで荷物が増えるのは嫌だったので、機種をメモしてAmazonで買おうと思った。ATH-A900Zというらしい。

Amazonで評価をチェック

オーディオテクニカ ART MONITOR ATH-A900Z

オーディオテクニカ ART MONITOR ATH-A900Z

東京の自宅に帰ってからAmazonのATH-A900Zのページを見てみる。レビューの様子がどうも怪しい。

衰えましたよ、確実に

テクニカは往年のユーザーをなめてるね?分かるからねこーいうのは

開発スタッフはもう一度原点を見つめ直した方がいい。

低音寄りの方が受けがいいのだろうか、最近ほかのメーカーでもそうだが
マイナーチェンジがあると高い確率で低音が強まるだけな安易な調整が入るのがホントにいやだ。

何をトチ狂ったかしょーもないありきたりな低音寄りヘッドホンになってしまった、しかも特別チューニングも上手くない、こんな音オーテクでやる意味がない

まず前提に、私はこの商品を買っていません。
何故なら買う気前提で視聴した結果あまりの酷さに購入を中止したからです。

これ、アートモニターシリーズでやることか?
音の作り方が完全にポータブル用途です。

何だかボロッカスに言われているけれど大丈夫なのだろうか、もっと良いヘッドホンがあるのではないかと感じてしまった。

Amazonで検索し直してみたところ、評価が1万件以上も付いていてかつ高評価なヘッドホンがあった。

購入して後悔しない間違い無しのヘッドホンの一つだと思います。

生活が変わりました。「音楽」を楽しめるようになりなりました。

レビューもATH-A900Zと違って手放しの絶賛が多い。結局こちらを買うことにした。

届いたヘッドホンは…

届いたATH-M50xを聴いてみる。

…あれ?

期待したのと違う。クリアな音質だけれど、心に響いてくるものがない。

名古屋のビックカメラで試聴したATH-A900Zはもっと心に沁みる感動的な音を聴かせてくれた気がした。でもそれは思い出補正かも知れない…いや、ビックカメラ店内でiPhoneに挿して試聴した環境で、マイナス補正はあれどプラス補正とかあるか…?きっとあっちのヘッドホンの方が良かったんだ…でもこのヘッドホンも高いしもう一つ買うというのは…と葛藤しつつ、結局ATH-A900Zも買った。

ATH-A900Zを聴く

届いたATH-A900Zを、失敗だったらどうしようと不安になりながら聴いてみる。

ビックカメラで試聴したときと同じように、心に深く響く音が流れて来た。思い切って買い直して本当に良かったと思う。

ATH-A900ZのAmazonレビューを読み直す

ここでもう一度ATH-A900ZのAmazonレビューを読み直してみる。

こと前900に関してはフラットかつ高解像度な音を「長時間」ストレスフリーで聴けるということで紛れもなく名機だった

まずA900に求める事
・やや高音寄りフラットな密閉型
・フルサイズなボディを生かした音場
この二つがかなり重要で初代a900はこの条件を満たしていた

A900がなぜ評価されていたのか、正しく認識してほしい。

私はA900無印を使用しています。
A900の透き通る高音、他の音を邪魔しない上品な低音。高すぎない分解能が逆に有効に作用した高い汎用性。
そして何よりこの価格でこのレベルの音が出せるのかという衝撃を持って愛用していました。
A900Xが発売された時にも順当進化を認めながらも無印に愛着があり、無印がボロくなったら買おうという気持ちで今まで過ごしていました。
そして今、無印がボロくなってきていざXを買おうと思った時にZが発売していることを知り、意気揚々と店に向かった結果がこれでした・・・。

A900ZのZとは最高傑作という意味ではなく、もうこのシリーズは終わりだよという事なのですね・・・。
こんな出来では続編は無いと思います。Xを買えるうちに買いましょう。900シリーズのファンだけに悲しいな・・・。

音自体は悪くないんです。ただ、もう昔のA900の音では無いんです。

どうやらATH-A900→ATH-A900X→ATH-A900Zという順番にモデルチェンジしていて、酷評している人々は初代ATH-A900の長年の愛用者のようだ。愛着と期待が裏切られた怒りをATH-A900Zにぶつけている訳だ。

これは完全な相対評価で、「音自体は悪くない」がATH-A900と比べて…という話なので、そもそもATH-A900を知らない私がレビューの酷評を気にしすぎる必要はなかったという訳だ。

一方的な愛とディス ―オタクの原点―

それにしてもこのATH-A900ZのAmazonレビュー欄、読み返すほどに面白い。痛烈なディスと一方的な愛、謎のこだわり、それらをどこかポエティックに表現する感性、オタクの原点という感じだ。

ネガティブなフィードバックに神経質にならざるを得ないTwitterで、最近は歯に衣を重ね着している私からすると、彼らの様子はのびのびとしていて実に好ましく感じられる。私も今一度原点に立ち還ってみたいような気がした。現実にはもうあの頃には戻れないとしても。