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「男の不感症」とは何か ―「ソープに行け」と言われて本当にソープに行ってしまった童貞たちの例を通して―

sex sexuality 書評 森岡正博

男の不感症

『感じない男』は、「男の不感症」という画期的な問題意識を提起した。森岡正博の「男の不感症」についての下に引用する語りに注目してみよう。

感じない男 (ちくま新書)

感じない男 (ちくま新書)

「男の不感症」は、二つのことを指している。ひとつは、射精がそれほどたいした快感ではないということだ。一瞬の排泄の快感でしかない。もうひとつは、射精したあとで、一気に興奮が醒め、全身が脱力し、暗く空虚な気持ちに襲われるということだ。私にとっては、前者よりも、後者のほうが深刻な問題である。なぜかと言えば、射精までのプロセスを引きのばすことによって性的な興奮を長く味わうことはできるし、セックスのやり方を工夫することで射精の快感を少しは高めることもできるのだが、しかしながら、どんな努力をしてみても、射精の直後の、あの興奮がすーっと醒めていく空虚な感じだけはけっしてなくならないからである。

森岡さんの立場(「男の不感症」当事者の立場)からは、「男の不感症」とは「射精」の快感が充分ではないことと、射精後の虚無感(いわゆる「賢者タイム」)のことだと定義されるけれど、「男の不感症」を脱した私の立場からすると、「男の不感症」の根本的な原因とは、「射精」で感じなければならない、或は「射精する男性器」で感じなければならない、逆に言うと男性器以外の自分の「男性の身体」は感じる能力が無いという思い込みにある。私は「男の不感症」を、「男性である自分は男性器で感じなければならない、男性器でしか感じられないという思い込み」だと再定義したい。

「男の不感症」の実例

この「男の不感症」のモデルケースとして、北方謙三の「ソープに行け」メソッドを真に受けてソープに行ってしまった童貞たちの例を挙げることが出来る。下のいくつかの性風俗での童貞喪失エントリとそこからの引用を見て欲しい。

行為自体の物質的な快感はオナニーと変わらないような感じでした。

気持ちイイかどうかというと、気持ち悪くはないけど、まあこんなだったらTENGAとかの方が気持ちイイんじゃないかな?

肉体的物理的な話をすると、純粋にそう気持ち良いものでもなかった、ということもある。今まで数年間、散々エロマンガだのエロゲーだのAVだので自慰し放題の生活を続けてきたせいで、女性の生の肉体との接触によってはあまり快感や興奮を得られないようになってしまったようである。

ちんこを気持ちよくするために生まれてきたオナホールが口まんこに負けるわけがない。

35年間守ってきた童貞をついに卒業するも、なんだろう、「あれっ?こんなもん?」という感じ。何かを卒業した感じが全くしない。フェラもそうだったけど、挿入も思いのほか気持ちよくない。ローションぬるぬるの方が気持ち良かった。ぶっちゃけオナニーの方が気持ちいい。

分かるだろうか。皆が皆セックスはオナニー以下の気持ち良さだったと感想を述べている。ちなみにこれは私が読んだ性風俗での童貞喪失エントリの全てで、論の展開に都合が良いように恣意的に記事を選択したわけではない。

彼らの一人は「風俗には愛がありません」等と「愛のなさ」をその理由に挙げているけれど、問題は愛のあるないではなく、彼らがセックスの価値をオナニーと同じ軸に置いている、つまり男性器への刺激による快楽の量でセックスの気持ち良さが量れると思い込んでいることにある。彼らはセックスワーカーの膣と、自らの手やオナホールを比較して、自らの意思で刺激の微調整が可能な後者がより理想的に男性器に快楽を与えてくれると述べているのだ。

しかしセックスの真価というのは、男性器以外の性感帯をパートナーに触って貰うことにある。男性器以外の性感帯は基本的には自分で触っても気持ち良くない。リラックスしてパートナーに身体を委ねる必要がある。この「リラックスしてパートナーに身体を委ねる」ということが初体験の性風俗でプロのセックスワーカー相手には行いづらいので、性風俗で童貞を喪失することは、セックスへの失望を伴う可能性が高い。

私は「ソープには行くな」と敢えて言いたい。

膣内射精障害

彼らは一応射精はできたみたいだけれど、「床オナ」や「皮オナ」、オナホールを使用したオナニー等の強い刺激のオナニーに慣れることによって、また、ポルノの強烈な視覚刺激に慣れることによって、現実の女性の膣で射精できなくなる「膣内射精障害」という症状が現代の男性の間で問題になっている。

膣内射精障害に悩む人や膣内射精障害の実情を把握したい人は2chのスレに日夜治療法を議論している人々がいるので参考にして欲しい。

膣内射精できない症候群 19発目

次の記事では、「男の不感症」を脱する方法について書く。