小さなコミュニケーション上の勝利

システム開発会社の内定者説明会に参加して来た。

三月から順次内定を出している会社で、今日の参加者は二人だけ。私と、もう一人はいかにもな就活スタイルに身を包んだ女性だった。

説明会は社長と古参の採用担当者によって行われ、クリアな給与体系とオープンな社風は好ましく感じられた。しかし、ITゼネコンと呼ばれる業界がアレ過ぎるわけで、何としてでも入社は避けたい。

2時間ほどの説明が終わり、採用担当者に見送られてエレベーターの扉が閉まり、女性と二人きりになって、一瞬沈黙が訪れた。
「業界さえブラックじゃなければ良い会社なんですけどね」
と、私の方から切り出してみる。
「そうですね」
と、彼女は緊張が解けた様子で笑って、そこから就活の話で盛り上がった。ITや金融業界のブラック談義は誰も傷つかない平和な話題だ。帰りの駅まで話ながら歩いて、別れた。清々しい気分だ。

以前の私であれば、エレベーターで最初の一言を発することができなかった。危険な自閉的オーラを発してコミュニケーションの芽を摘んでしまったに違いない。

最近はこういうところで自らのちょっとした成長を感じる。人の目を見て話すことも少しずつ出来るようになってきた。

「警戒すべき他人」と「何でも話せる超親しい人」みたいな区分で今まで人間関係を考えていたけれど、その中間の豊かさをもっと模索できたら楽に生きられるのかな、と今は感じている。