趣味で開発している短歌投稿サイトUtakataのトップページに表示される「人気の歌」の掲載ロジックを変更した。
素朴な「いいね数ランキング」から始まった
Utakataは8年前、私がWeb開発未経験だった頃に作ったサービスだ。
サービス開始当初から、直近期間の被いいね数が多い短歌を「人気の歌」としてトップページに掲載していた。非常に素朴なロジックだったが、最初はそれで十分に機能していた。集計期間を直近で区切ることで、掲載される歌もほどよく入れ替わっていた。
できたばかりのUtakataには個性的なユーザーが集まっていて、トップページを読むと面白い作品を見つけることができた。
台頭する「互助会」
それが段々と、お互いにいいねを付け合う「互助会」ユーザーの投稿短歌が、トップページを占有するようになってきた。もはや短歌の体をなしてすらいないような、「仲間内での交流」を目的とする投稿を見かける機会も増えていった。
これはよくないな、と思っていたのだが、解決策を考えるのが若干難しいことと、仕事が忙しいこともあり、長年この問題を放置してしまっていた。
「すべての歌にいいねを付けられるのがストレス」という問い合わせ
そんな中、あるユーザーから問い合わせをもらった。すべての歌に無差別にいいねを付けるユーザーがいて、ストレスに感じる、という内容だった。
それは確かに不快だよな、と同情する一方で、無差別にいいねを付ける行為自体は利用規約違反とは言い難く、管理人として直接的に対処できることはなさそうに思った。ただ、こうした行為の誘因となっている、「お返しいいね」をもらうことに強いインセンティブが発生しているトップページの掲載ロジックについては、この機会に見直そうと思った。
相互いいねの影響を減らす
「人気の歌」の掲載ロジックを見直し、相互いいねを不利にするような調整を入れてみることにした。まずは極端なロジックで試してみようと思って、Codexに実装させて、思い立ったその日のうちにリリースした。
「短歌」が還ってきた
変更後のロジックも実際かなり素朴なので、こんなもので有意な効果があるのかどうか、リリース前は半信半疑だった。
新ロジックのリリース後、トップページを開く。
そこには「短歌」があった。「短歌」があった、というよりほかない。
長い期間見慣れていて、そんなものかと思っていたけれど、これまで相互いいねの互助会環境で浮上していた短歌は、現代詩としての「短歌」の鑑賞可能性の前提を欠いていたのだと、改めて気づかされた。また、そのような状態のトップページを長年放置してきた自らの怠慢を恥じた。
そして、こんなUtakataにも「短歌」を投稿し続けているユーザーが、今でもたくさんいることに気づかされた。
それでも「いいね」を信じたい
他の人の記事にブックマークをつけてお返しとしてのブックマークを期待したり、ブログ記事で「ブックマークお願いします」と書いたり、そのような方法で応援を求めることも、はてなでは決して歓迎してはいません。
一昔前、はてなブログでも「互助会」の問題が話題になっていた。
今回自分で対処してみて、AIを活用するような高度なロジックを導入せずとも、素直に相互いいねの影響を減らすだけで劇的な効果が得られることがわかった。
その一方で、変更後も「いいね」が唯一の評価指標であることに変わりはない。ユーザー同士の鑑賞によって「良い」作品が浮かび上がる、そういう善意に支えられた世界観を信じたい気持ちは、今も変わらず抱き続けている。